ざわつく今日に名付けよう

カレンダーを見ると、ちょっと今日は自分にとってはざわつく日だ。祝う日でも呪う日でもないのだが、実は、最初の結婚をしたときの結婚式の日なのだ。当時はまだ20代。その結婚はわずか1年で終わりになってしまったが、離婚後しばらくの間、私はこの日を呪っていた。結婚式の写真は全て処分。パソコンからもフォルダごと一気に削除してしまった。だからその時の自分の姿はもう見られないのだけれど、マリアベールをかぶった自分のウエディングドレス姿を思い出すと、なぜかうれしい気持ちになることに驚く。今よりも若く、肌だってもっときれいだったであろう自分を思い出して。

写真1枚くらいは残しておけばよかった、とは思ったことはない。自分には不要なものをバッサリと切り捨ててきたことは、前を向くために必要なことだったと思う。むしろ「よくやってきたね」という心境なのだ。

ただ、あのとき、結婚式に参列してくれた人たちや披露宴に来てくれた人のことを思うと今もチクリと心が痛む。その痛みはだいぶ和らいだが、当時はもう自分がズタズタになるほどの痛みだった。ひとりひとりに謝罪しに行くべきだ、とさえ思っていた。結婚式には関係ない、道歩く人に対しても謝罪したい気分で、今思うと私は病んでいたのだろう。友人に、離婚の話をして謝ったとき、きっとあなたはそういうこと気にしているんじゃないかと思っていたけど、本当にそんなこと気にしなくていいんだよ。という言葉に、泣き崩れるほどだった。

離婚して15年以上が経った。その間出会ったの人の中には、離婚してごめんなさい、と謝る人も確かにいたし、私自身も謝られたこともある。そのときに感じたが、やっぱり離婚は、周囲の人に謝罪するものではないと思う。その人の新たな出発なんだから、大きな選択をしたことに対してむしろ祝福する日だ。

今日に名づけるとしたら、なんだろうか。前を向く日、かな。